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​​#18「フェティシズム・サーガ」

(♂2:♀1:不問3)上演時間30~40分


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オパンティーア・ゼロ

【オパンティーア・ゼロ】不問

惑星オパンティアの若き総統。互いのフェティシズムを掲げて戦うこの大戦に疑問を感じながらも、

己の信念と自らが統べる民を守るため立ち上がる。

オウ・パイヤー

【オウ・パイヤー】不問

オパンティアに次ぐ勢力であるオッパイコロニーの猛き将軍。おっぱいへの揺るがぬ情熱と自信に満ち、

全てのフェティシズムの頂点に立たんと高らかに吼える。

カダム・スルタン

【カダム・スルタン】不問

辺境ストッキングムーンの麗しき王。鷹揚に振舞ってはいるが、カダム(足)とストッキングという

フェティッシュへの愛とプライドは測り知れない。

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―オパンティーア・ゼロによる開戦前夜の演説
 

オパンティーア・ゼロ:オパンティア。それは誰しもが幼子の頃より抱(いだ)かれし、優しき大地である。オパンティア。それは誰しもが最初に無限の夢を抱く、宇宙そのものである。しかし!少年は大人になり、男となりゆく過程で、ブラジャー星雲やオッパイコロニー、ストッキングムーンへと飛び立ってゆく!だが男たちよ、忘れるな。お前たちが初めて抱いた希望を!オパンティアが見せる、温かき望郷の祈りを!オパンティアは争いを好まぬ。ただそこで、当たり前のように皆を包み込むのみ!だが私はここに宣言する!様々な嗜好が乱立する「フェティシズム暗黒時代」の今こそ、オパンティアの偉大さを掲げ、名乗りを上げる刻である!……諸君、オパンティアは好きか!つるつる、ふりふり、しましま!オパンティアは全ての男たちの前に立ちはだかるもの!同時にその全貌(すがた)を顕(あら)わにした時、男たちに永遠の安らぎを与え、目指すべき到達点(オケアノス)へと導くもの!もう一度問おう!諸君!オパンティアは好きか!ならば立て!今こそ!オパンティアの力を示すのだ!
オパンティア!オパンティア!オパンティアーーーー!
(※他のキャストの方も一緒に、お好きなようにガヤで叫んでください)

―オウ・パイヤー将軍による開戦前夜の哄笑

 

オウ・パイヤー:やれやれ、やっと戦いの時が来たか。尤(もっと)も、フェティシズム暗黒時代など、我に言わせればほんの児戯よ。我らがオッパイコロニーこそ、フェティシズムの覇者!常勝であり無敗!オパンティアもストッキングムーンも、我の手のひらの上で踊るに過ぎん。届きそうで届かぬ、柔らかな双丘(そうきゅう)、一度(ひとたび)触れただけで、全てを包む込む柔らかさ。手のひらに収まるも良し、零れるも良し。人は生まれながらにして、オッパイを求めるというもの!包容力と美を併せ持つ、究極にして永遠!それがオッパイだ!誰しもが愛してやまぬもの!それがオッパイだ!我らは決して狭量ではない。我らに歯向かう者たちも、全て等しく、この胸に抱きとめてやろうではないか!馬を引け!一足先に「オッパイ連山」へ勝利の報告と参ろうぞ!……おお、今宵はオッパイ連山にブラジャー星雲が重なっておるではないか。ブラジャーとオッパイは斬っても切り離せぬもの。オッパイがあるからブラジャーがあり、ブラジャーがあるからオッパイがある!その二つが重なるとは!これはめでたい!皆の者!これは吉兆である!さあ!勝どきの声をあげろぉぉぉ!
オッパイ!オッパイ!オッパイ!オッパイ!
(※他のキャストの方も一緒に、お好きなようにガヤで叫んでください)
 
―カダム・スルタンによる開戦前夜の咆哮

 

カダム・スルタン:フェティシズム暗黒時代……?くっ……ははははは!笑わせる!幼稚な理想から醒めることの出来ぬオパンティアの民や、直情型のオッパイコロニーの連中に何が出来る?精々(せいぜい)潰し合うが良い。……侮るなよ。我らストッキングムーンは沈黙の虎だ。奴らが吼えるのを肴に、酒を飲んでいれば良い。見よ、今宵のレッグの女神の、美しき脚(カダム)を!緩やかな曲線が描くのは、明日への希望。さらにストッキングという柔らかなヴェールを纏(まと)うことによって日々表情を変えるその姿、まさに至高の芸術よ。80デニールの近寄り難き尊さ!60デニールの優しき誘(いざな)い!30デニールの蠱惑(こわく)!これ程の多様性に富んだ美が、他にあるか?カダムは目の前に露骨にぶら下げられる下品なフェティッシュではない。我らは自ら渇望(かつぼう)するものの正体を求め、この地に辿り着いた、気高き民だ!もしこの地を侵そうと言うのであれば……我らの牙が全てを引き裂くと思え!裂かれたストッキングは美しいが、貴様らの屍は、さぞ醜きことであろう!ストッキングムーンの民よ!案ずるでない!お前たちは安心してカダムを愛でていれば良い!柔らかな太ももと引き締まったふくらはぎ、くるりと愛らしいくるぶしは、直(じき)に全てのフェティッシュの頂点に立つだろう!
アッサンクィ・ナニラ・アバディ! 【※意味「脚よ、永遠なれ」】
(※他のキャストの方も一緒に、お好きなようにガヤで叫んでください)

【間】


―戦いの地にて
 

オパンティーア・ゼロ:怯むな!進め!オパンティアの加護を信じるのだ!
 

オウ・パイヤー:オッパイ連山に魂を捧げし者どもよ!熱き昂りを、存分に我に見せるが良い!
 

カダム・スルタン:ストッキングを掲げよ!我らの高貴なフェティシズムを見せつけてやれ!
 

(斬り結ぶオパンティーア・ゼロとカダム・スルタン)
 

カダム・スルタン:はあぁっ!

(カダム・スルタンの剣を受け止めるオパンティーア・ゼロ)

 

オパンティーア・ゼロ:くっ……!重い……!その剣技と刺繍入りストッキング……!貴公、「レッグの虎」、カダム・スルタンか!
 

カダム・スルタン:いかにも!そして貴様のその腰のレース……「始まりのオパンティア」、オパンティーア・ゼロだな!……成程!なまっちょろい!

 

(カダム・スルタン、再び斬りかかる)
 

オパンティーア・ゼロ:舐めるな!

 

(オパンティーア・ゼロ、その剣を弾く)
(オウ・パイヤー、高らかに笑いながら現れる)

オウ・パイヤー:戦場で個に執着するとは良い度胸だ!
 

カダム・スルタン:この声は……!


オパンティーア・ゼロ:「オッパイ卿」オウ・パイヤーか!
 

オウ・パイヤー:どれ、まずはオパンティーア・ゼロ!貴様から屈服させてやろう!はぁっ!

 

(オウ・パイヤー、オパンティーア・ゼロを槍で突こうとする)

(間一髪のところでかわすオパンティーア・ゼロ)
 

オパンティーア・ゼロ:……っ!


オウ・パイヤー:ほう。我の槍を避けるとは、その名に恥じぬ程度の実力はあるようだな。
 

オパンティーア・ゼロ:何故だ……!何故黙ってオパンティアに身を委ねない!?貴公らとて、オパンティアの加護を受けているだろう!
 

カダム・スルタン:そんなもの!最早カビの生えた思想よ!時代の流れを見ろ、オパンティーア・ゼロ!今は隠されたオパンティアなどではなく、道を、そして未知を切り拓く躍動を感じさせるカダムの時代なのだ!
 

オウ・パイヤー:ふむ、フェティッシュは違えど、貴様とはそれなりに美味い酒が飲めそうだな。カダム・スルタンよ!
 

カダム・スルタン:はっ!戯言(ざれごと)を。


オパンティーア・ゼロ:カビなどではない!これは歴史だ!連綿と受け継がれたフェティシズムの歴史、それこそがオパンティアではないか!
 

オウ・パイヤー:甘っちょろい理想をいつまでもほざいているから、貴様は弱いのだ!

 

(オウ・パイヤー、再び槍でオパンティーア・ゼロを突こうとする)

 

オウ・パイヤー:でやぁぁぁぁっ!

 

(オパンティーア・ゼロ、槍を剣で受けるが、その重さに倒れる)


オパンティーア・ゼロ:うあっ……!


カダム・スルタン:なるほど、オウ・パイヤーよ。その一点については同感だが……なあっ!
 

(カダム・スルタン、オウ・パイヤーに斬りかかるも、その鎧に弾かれる)
 

カダム・スルタン:なっ!俺の剣を弾いただと!?
 

(オウ・パイヤー高らかに笑う)

オウ・パイヤー:乳湖(にゅうこ)の水で清められしこの鎧に、傷を付けられるとでも思ったか!たわわなる双峰(そうほう)の力は、どんな攻撃をも弾き返すのだ!生命を育む柔らかなオッパイの力!存分に見せつけてやろうぞ!


オパンティーア・ゼロ:くっ……!皆の者!オパンティアのゴムを守れ!
 

カダム・スルタン:ストッキングたるんでいるぞ!引き上げよ!
 

(以下三人で)
 

オパンティーア・ゼロ:うおぉぉぉぉぉぉ!
オウ・パイヤー:うおぉぉぉぉぉぉ!
カダム・スルタン:うおぉぉぉぉぉぉ!
 
【間】

―オパンティアの神殿

 

(オパンティーア・ゼロが祈りを捧げている)

 

オパンティーア・ゼロ:……神よ、オパンティアの神よ。大戦が勃発してから、もう三年が経ちました。戦争は、まだ終わっていません。これで本当に、このフェティシズム暗黒時代に終止符は打てるのでしょうか?私は分からなくなりました。ですが分からぬなりに、私なりに、出来ることを模索してゆくつもりです。神よ。どうか私に、オパンティアの加護を……!
 

(背後から足音が近付く)


カダム・スルタン:……ここがオパンティアの神殿か。やはり古臭いな。
 

オパンティーア・ゼロ:私の呼び出しに応じてくれたこと、感謝する。有難う、カダム・スルタン。
 

カダム・スルタン:なに、絶好の機会だと思ったまでだ。
 

オパンティーア・ゼロ:絶好の機会?


カダム・スルタン:人払いをしてまで敵将とサシで話し合おうとは、勇猛なのかそれともただの阿呆か、と思ったが、どうやら後者だったようだな。


オパンティーア・ゼロ:……率直に言おう。この大戦、もう終わりにしないか?
 

カダム・スルタン:阿呆な上に腑抜けと来たか。ならば話は早い。今すぐその首を俺に差し出せ。
 

オパンティーア・ゼロ:確かに私は腑抜けの阿呆かもしれないが、今はこの首を差し出すわけにはいかない。
 

カダム・スルタン:ほう?
 

オパンティーア・ゼロ:この大戦……長引き過ぎた。我らオパンティアの民だけでなく、貴公らストッキングムーンの民も、オッパイコロニーの民も、皆疲弊し、己のフェティシズムの本質を見失いつつあるように感じるのだ。
 

カダム・スルタン:……何が言いたい。
 

オパンティーア・ゼロ:私は……私たち全てがありのまま、己の欲するものを信じていて良いのではないかと思うのだ。フェティシズムに上下はない。皆が自由に、愛するものを愛したいように愛する……これが、フェティシズムという名のもとにひとつになる、ということではないだろうか。
 

カダム・スルタン:理想論だな。貴様のそれは、お綺麗だが世を知らぬ子供の夢のように愚かだ。
 

オパンティーア・ゼロ:そんな
 

カダム・スルタン:更に言わせてもらおう。貴様が鼓舞し、導いてきた民にこれだけの血を流させておいて、今更「私は間違っていた」とでも言うのか?仮にも総統を名乗るのであれば、そのような綺麗事を口にするな。同じ民を率いる者として、反吐が出る。
 

オパンティーア・ゼロ:いいや、やめない。
 

カダム・スルタン:ならば、やはりここで死ぬか?
 

オパンティーア・ゼロ:私は死なない!オパンティアは、全てのフェティシズムの始まりだ!貴公は、そこで足を止めた愚か者だと私たちを馬鹿にするかもしれない。だが!だからこそ!優しきオパンティアの思想に立ち返り、全てを認め包みたいと……そう思ったのだ……!皆忘れてしまっているだけなのだ!
 

カダム・スルタン:……。

 

オパンティーア・ゼロ:フェティシズムは愛だ!愛を失えば……フェティシズムも、死ぬ……!だから私は死なない!愛を見失ったまま――民に愛を見失わせたまま死ぬわけにはいかぬのだ……!
 

カダム・スルタン:この俺に、貴様と和平を結べと、そう言うのか?
 

オパンティーア・ゼロ:皆、元々はオパンティアから旅立った者たちだ。そのなかでもストッキングムーン、貴公らはオパンティアに限りなく近い、ロウアーボディ派だ。分かってくれると……思いたい。
 

(カダム・スルタン、ため息をつく)
 

オパンティーア・ゼロ:綺麗事なのは分かっている!だがそれを承知で頼みたい。私はこれ以上……愛を失いたくない……!
 

(少しの間)
(カダム・スルタン、ふっと笑う)

カダム・スルタン:貴様のカダム……重々しい鎧に覆われていても分かる、子鹿のようなしなやかさだ。初めて見た時から、俺のものにしたいと思っていたが……そうだな、そのカダムの根元にはオパンティアがあったな。
 

オパンティーア・ゼロ:あ……!
 

カダム・スルタン:大樹があるから、柔らかくしなやかな枝が伸びる。そしてその大樹を護るのがオパンティア。そういうわけか。
 

オパンティーア・ゼロ:そうだ!そしてそのオパンティアを守護するのはストッキングだ!こうして愛は、フェティシズムは繋がっていくんだ!だからきっと……きっとアッパーボディ派にも伝わるはずなんだ!
 

カダム・スルタン:……分かってはいたのだ。愛なきフェティシズムは、ただの汚い欲望に過ぎん。全てのフェティシズムを認めてこそ、己の信ずるフェティッシュが輝いて見えるということか……。
 

オパンティーア・ゼロ:私はそう、信じている。
 

カダム・スルタン:今ここに、このカダム・スルタンがレッグの女神に誓おう。我らストッキングムーンは、オパンティアとの和平に応じる。これはフェティシズムの名のもとの、不可侵の愛だ。
 

オパンティーア・ゼロ:カダム・スルタン……!
 

カダム・スルタン:……だがな、オパンティーア・ゼロ。
 

オパンティーア・ゼロ:なんだ。
 

カダム・スルタン:オウ・パイヤーは俺より手強いぞ。あれは柔軟に物を考えることが出来ぬ。貴様のカダムでは頼りなさすぎる。
 

オパンティーア・ゼロ:それは……
 

カダム・スルタン:俺が行こう。貴様よりは何倍もマシだろうし、俺に策がある。
 

オパンティーア・ゼロ:……感謝の言葉もない。
 

カダム・スルタン:和平を結んだ以上、俺の問題でもあるというだけだ。貴様は精々、少女のように祈っておくがいい。

【間】
 
―オッパイコロニー/オウ・パイヤーの宮殿にて

 

(オウ・パイヤーとカダム・スルタンが向かい合って座っている)

 

オウ・パイヤー:聞いたぞ。オパンティアと和平を結んだそうじゃないか。「レッグの虎」の牙は、ただの飾りだったと見える。
 

カダム・スルタン:さすがに耳が早いな。
 

オウ・パイヤー:我らを舐めてもらっては困る。今や我がオッパイコロニーはブラジャー星雲のみならず、惑星ニ・ノウデーを併合し、アッパーボディの一大勢力だ。情報網はそこかしこにあるというものだ。
 

カダム・スルタン:確かに。だが、さすがと言うべきか。貴様は微塵も油断をしてはいない。尊大な口をきいてはいるが、この部屋に配備された兵の数を見れば一目瞭然だ。
 

オウ・パイヤー:ふっ、牙を抜かれても虎は虎だな。
 

オウ・パイヤー:我らが勢力を拡大したように、オパンティアも貴様らストッキングムーンだけでなく、アステロイドヒップとも和平を進めているのは知っている。いずれも大きな勢力ではないが、如何せん血の気が多い。油断した隙に喉元を食いちぎられては敵わんからな。


カダム・スルタン:安心しろ。俺は別に貴様とやり合いに来たわけじゃない。
 

オウ・パイヤー:おいおいおい、まさかとは思うが、貴様ら、この我に和平交渉を持ちかけよう、というわけではあるまいな?
 

カダム・スルタン:そのまさかだと言ったら?
 

オウ・パイヤー:牙を抜かれた上に、飼い猫にまで成り下がったか。虎が来ると楽しみにしていたが、興が削がれた。これなら武器など要らぬな。片手で簡単に縊(くび)り殺せそうだ。
 

カダム・スルタン:俺があんな柳腰(やなぎごし)の飼い猫になぞなるものか。俺はあくまでも、自らの意志で、この大戦を終結すべく来たのだ。
 

オウ・パイヤー:我からしたら何も変わらんな。
 

カダム・スルタン:いいや変わるさ。なんなら……試してみるか?

 

(カダム・スルタン、剣を抜こうとする)
(睨み合う二人)

オウ・パイヤー:……
 

カダム・スルタン:……
 

(少しの間)
(オウ・パイヤー、大きなため息をつく)

オウ・パイヤー:……我がオッパイコロニーは、全てのフェティシズムの頂点に君臨するまで戦うのを辞める気はない。だが、我には己の宮殿を血で汚す趣味はないのでな。今なら生かしておいてやる。今直ぐ帰るんだな。
 

カダム・スルタン:そう急(せ)くな。手土産を用意したんだ。せめてそれだけは受け取っておけ。
 

オウ・パイヤー:要らん。これ以上無駄口を叩くのなら、今すぐにでも宮殿前の広場でお前の胸を我が槍で穿(うが)ち、見世物にするぞ。
 

(カダム・スルタン、それを無視して手を叩く)

カダム・スルタン:入れ。
 

(美しい女性が入ってくる)
 

オウ・パイヤー:これは……!?これが手土産だと……!?
 

(カダム・スルタン、にやりと笑う)

カダム・スルタン:俺のハレムの中でも一番の美姫(びき)だ。お前の気に入るのではないかと思ってな。
 

オウ・パイヤー:なんと美しくたわわな双丘……!そしてその褐色の肌が、より艶めかしくおっぱいに陰影をつけている……!それに……この薄布(うすぬの)はなんだ!美しきおっぱいを隠している忌々しいもののはずなのに!透けて見える柔肌の盛り上がりを、よりエロティックに魅せているではないか!
 

カダム・スルタン:直情型の貴様らでは思いつかん装飾であろう?なんでもかんでも放り出せば良いというものでもあるまい。
 

オウ・パイヤー:貴様、カダムの虎などと名乗りながらこのようなおっぱいを隠していたとは、一体どういうことだ。
 

カダム・スルタン:俺はこれのおっぱいなどには微塵も興味はない。これの最大の魅力は、この筋肉と脂肪の黄金比を保つカダムにあるのだ。だが、オパンティアと和平を結び広い視野で見てみれば、これの胸もカダムの曲線に通ずる美しいラインを描いているではないか。……だから、お前への手土産になると思ったのだ。
 

オウ・パイヤー:ああくそっ!この薄布が我を翻弄する!
 

カダム・スルタン:ちなみにその薄布は、我がストッキングムーン特産のシルクでな。ああそうだ、オパンティアでも使用されていたなぁ。


オウ・パイヤー:……貴様の魂胆、読めたぞ。虎どころか蛇であったか。いやらしく絡みついてきおって。
 

カダム・スルタン:俺はオパンティーア・ゼロのような、子供じみた甘っちょろいことは言わん。純粋に、貴様とビジネスの話がしたい。
 

オウ・パイヤー:和平を結べば、このおっぱいを引き立てる薄布を我がオッパイコロニーに流しても良い、ということか。
 

カダム・スルタン:もうひとつ。これは感情論だが……
 

オウ・パイヤー:今の我は気分が良い。寸刻(すんこく)だけなら聞こう。
 

カダム・スルタン:オウ・パイヤーよ。この手土産は、元は俺の持ち物だと言ったな。つまり、これはお前のフェティシズムだけでなく、俺のフェティシズムをも満たすものだ。
 

オウ・パイヤー:つまり俺にも、広い視野で見ろと?オパンティアもストッキングムーンも認めろと言うのか。
 

カダム・スルタン:そこまでは言わん。だがな、こうして複数のフェティシズムを満たす存在も確かにある、ということだ。ひとつに縛られた挙句、これのような貴重な存在をも失ってしまうのは、いささか馬鹿らしくはないか?
 

(少しの間)

 

オウ・パイヤー:くっ……くくくくっ!あはははははははは!貴様はやはり侮れん!なにより!これだけのいいおっぱいを目の前にしては何も言えぬわ!目の前のこれが何よりの証拠であり、真実だからな!いいだろう!おっぱいこそが至高であることに変わりはないが、我もこの長戦(ながいくさ)には正直飽きてきたところだ。流れる血よりも、我は零れ落ちるおっぱいの方が良い!おっぱいの名に懸けて!全てのフェティシズムを抱きとめてやろう!

(オウ・パイヤー、満足げに高らかに笑う)
 
【少し長めの間】
 
―エピローグ

 

オパンティーア・ゼロ:F0086(エフ・ダブルオーエイティシックス)。長きに渡った大戦は、これにて終わりを迎える。この戦争で流れた血は、決して少なくはない。だが、私たちはその血をオパンティアで、ストッキングで、おっぱいで受け止め、包み込みながら新しい道を歩んでいこう。いいや、そうでなくてはならないのだ。この宇宙が、数多(あまた)のフェティシズムによって……そう、愛によって満たされるその日まで、永遠に。
 

オウ・パイヤー:F0089(エフ・ダブルオーエイティナイン)。オパンティーア・ゼロが何者かによって射殺された。そして同時に、カダム・スルタンが姿を消した。フェティシズム連合軍はカダム・スルタンを犯人と断定し、その行方を追っているが――恐らくもう生きてはいまい。……カダム・スルタンよ、獅子身中(しししんちゅう)の虫とはよく言ったものだな。貴様がとうに追放したと思っていた貴様の叔父、カダム原理主義の過激派、アシフェ・ティズムが秘かに勢力を拡大し、貴様の喉元に迫っていたとは。聡(さと)い貴様にしては、随分と間抜けな話だ。……まあいい。我はやはり、根っからの戦好きのようでな。右往左往する平和ボケしたオパンティアの民に喝を入れて、ひとつ彼奴(きゃつ)の首でも取りに行くとしよう。勘違いするなよ、レッグの虎。これはあのおっぱいと、薄布への返礼だ。


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【幕】

#1「あまなつ」: 全商品のリスト
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